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社会保険労務士合格研究室

労災保険法

R4-233 

R4.4.12 逸脱・中断と「日常生活上必要な行為」

 合理的な通勤経路を、逸脱・中断した場合は、「逸脱・中断の間」と「合理的な通勤経路に戻った後の移動」は通勤となりません。

 しかし、日常生活上必要な行為によって合理的な通勤経路を「逸脱・中断」した場合は、合理的な通勤経路に戻った後の移動は通勤として認められます。

 

 今回は、「日常生活上必要な行為」を確認します。

 

条文を読んでみましょう。

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② 通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

1 住居と就業の場所との間の往復

2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

3 1に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

③ 労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としない。

 ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。

 

則第8条 (日常生活上必要な行為)

 法第7条第3項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。

1 日用品の購入その他これに準ずる行為

2 職業訓練、学校教育法第一条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

3 選挙権の行使その他これに準ずる行為

4 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

5 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護継続的に又は反復して行われるものに限る。)

 

 

では、過去問をどうぞ!

①【H23年出題】

 労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱した場合でも、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱の間も含め同条の通勤とする。

 

 

②【H27年出題】

 会社からの退勤の途中で美容院に立ち寄った場合、髪のセットを終えて直ちに合理的な経路に復した後についても、通勤に該当しない。

 

 

③【H28年出題】

 会社からの退勤の途中に、定期的に病院で、比較的長時間の人工透析を受ける場合も、終了して直ちに合理的経路に復した後については、通勤に該当する。

 

 

④【H25年出題】

 女性労働者が1週間に数回、やむを得ない事情により、就業の場所からの帰宅途中に最小限の時間、要介護状態にある夫の父を介護するために夫の父の家に立ち寄っている場合に、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当する。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H23年出題】 ×

 逸脱・中断が、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」であったとしても、逸脱・中断の間は通勤になりません。

 

 

②【H27年出題】 ×

 理美容院に立ち寄ることは、「日用品の購入その他これに準ずる行為」に該当します。合理的な経路に復した後は、通勤になります。

(昭48.11.22基発第644号)

 

③【H28年出題】 〇

 「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」には、通常の医療を受ける行為に限らず、人工透析など比較的長時間を要する医療を受けることも含んでいる、とされています。

(昭48.11.22基発第644号)

 

 

④【H25年出題】 〇

 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護は、「継続的に又は反復して行われるもの」に限られます。

問題文のように1週間に数回介護を行う場合は、「継続的に又は反復して」に該当します。

(昭48.11.22基発第644号)

社労士受験のあれこれ