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社会保険労務士合格研究室

 令和4年択一式を解いてみる(徴収法)

R5-014

R4.9.11 R4「徴収択一」は長文問題が多かったです。今日は『賃金総額の特例』

 令和4年の徴収法の択一は長文問題が多くみられました。

 今日は、「賃金総額の特例」の問題を見てみましょう。

 

 一般保険料の額は、「賃金総額」×一般保険料に係る保険料率で計算します。

 「賃金総額」は、原則として、「事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額」ですが、「厚生労働省令で定める事業については、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業に係る賃金総額とする。」(法第11条第3項)という特例があります。

 令和4年は、この「賃金総額の特例」が出題されました。

 まず、「厚生労働省令で定める事業」を読んでみましょう。

則第12(賃金総額の特例)

 法第11条第3項の厚生労働省令で定める事業は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち次の各号に掲げる事業であって、同条第1項の賃金総額を正確に算定することが困難なものとする。

1 請負による建設の事業

2 立木の伐採の事業

3 造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)

4 水産動植物の採捕又は養殖の事業 

 

 賃金総額の特例が認められる条件は1~4に当てはまる事業で、「賃金総額を正確に算定することが困難なもの」ですので、注意してください。

 

 

では、令和4年の問題をどうぞ!

①【R4年問10-B】労災

 労災保険に係る保険関係が成立している造林の事業であって、労働保険徴収法第11条第1項、第2項に規定する賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。

 

②【R4年問10-C】労災

 労災保険に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、労働保険徴収法第11条第1項、第2項に規定する賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その事業の種類に従い、請負金額に同法施行規則別表第2に掲げる労務費率を乗じて得た額を賃金総額とするが、その賃金総額の算定に当たっては、消費税等相当額を含まない請負金額を用いる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R4年問10-B】労災 ×

 『造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)』、『水産動植物の採捕又は養殖の事業』については、『その事業の労働者につき労働基準法の規定に基づき厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする。』とされています。

★賃金総額=(平均賃金に相当する額×それぞれの労働者の使用期間の総日数)の合算額

 

 なお、『立木の伐採の事業』については、所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額とする。』とされています。

★賃金総額

=素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額×生産するすべての素材の材積

(則第14条、第15条)

 

 

②【R4年問10-C】労災 〇

 『請負による建設の事業』については、『その事業の種類に従い、請負金額に別表第2に掲げる労務費率を乗じて得た額を賃金総額とする』とされています。

 また、請負金額に、「消費税等相当額を含まない」のがポイントです。

 

 

では、過去問もどうぞ!

③【H26年出題】労災

 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、業態の特殊性等の理由により賃金総額を原則どおり正確に算定することが困難な事業については、特例による賃金総額の算出が認められているが、その対象となる事業には、「請負による建設の事業」や「水産動植物の採捕又は養殖の事業」が含まれる。

 

④【H30年出題】雇用

 請負による建設の事業に係る賃金総額については、常に厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業の賃金総額とすることとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】労災  〇

 特例による賃金総額の算出が認められているのは、「請負による建設の事業」、「立木の伐採の事業」、「造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)」、「水産動植物の採捕又は養殖の事業」です。

 

 

④【H30年出題】雇用  ×

 請負による建設の事業だから、常に、特例が認められるのではなく、「賃金総額を正確に算定することが困難なもの」に限られています。

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