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R5-043
障害手当金は「一時金」として支給される保険給付です。
今日のテーマは、支給要件に該当しても、障害手当金が支給されない場合です。
では、条文を読んでみましょう。
第56条 障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、障害手当金を支給しない。 1 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。) 2 国民年金法による年金たる給付の受給権者(最後に障害状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。) 3 当該傷病について国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律若しくは労働基準法の規定による障害補償、労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者 |
厚生年金保険・国民年金の「年金」の受給権者には障害手当金は支給されません。
年金は、「障害」に限定されず、「老齢」、「障害」、「遺族」が対象です。
<例外> 障害厚生年金(障害基礎年金)の受給権者でも、3級に該当しなくなった日から起算して3年を経過した受給権者(現に障害状態に該当しない場合)には、障害手当金が支給されます。
同じ傷病で労災保険から障害補償給付、複数事業労働者障害給付、障害給付を受ける権利を有する者には障害手当金は支給されません。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問3-D】
障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、障害手当金の障害の程度を定めるべき日において遺族厚生年金の受給権者である場合は、その者には障害手当金は支給されない。
【解答】
【問3-D】 〇
「年金たる保険給付の受給権者(国民年金の場合は「年金たる給付」)」には、原則として障害手当金は支給されません。
「年金たる保険給付」には遺族厚生年金も含まれます。障害手当金の障害の程度を定めるべき日に遺族厚生年金の受給権者である場合は、障害手当金は支給されません。
では、過去問もどうぞ!
①【H28年出題】
障害手当金の受給要件に該当する被保険者が、当該障害手当金に係る傷病と同一の傷病により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する場合には、その者には障害手当金が支給されない。
②【R3年出題】
第1号厚生年金被保険者期間中の60歳の時に業務上災害で負傷し、初診日から1年6か月が経過した際に傷病の症状が安定し、治療の効果が期待できない状態(治癒)になった。その障害状態において障害手当金の受給権を取得することができ、また、労災保険法に規定されている障害補償給付の受給権も取得することができた。この場合、両方の保険給付が支給される。
【解答】
①【H28年出題】 〇
「同一の傷病」により労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付を受ける権利を有する場合は、障害手当金は支給されません。「同一の傷病」がポイントです。
②【R3年出題】 ×
同一の傷病により、障害手当金の受給権と労災保険法の障害補償給付の受給権を取得した場合、両方の保険給付が支給されるのではなく、障害手当金は支給されません。
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