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R5-085
労働者から退職時の証明書の交付を請求された場合、使用者には交付する義務があります。
条文を読んでみましょう。
第22条 (退職時等の証明) ① 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。 ② 労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。 ③ 前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。 |
①は「退職時の証明」です。法定記載事項は、①使用期間、②業務の種類、③その事業における地位、④賃金、⑤退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)です。
②は「解雇理由証明書」です。解雇予告の期間中に、労働者から解雇理由について証明書を請求された場合に、交付しなければならないものです。
では、令和4年の問題をどうぞ!
【問5-E】
労働基準法第22条第1項に基づいて交付される証明書は、労働者が同項に定める法定記載事項の一部のみが記入された証明書を請求した場合でも、法定記載事項をすべて記載しなければならない。
【解答】
【問5-E】 ×
第22条第3項で「証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない」と規定されています。
例えば、解雇された労働者が解雇の事実のみが記入された証明書を請求した場合は、証明書に記載できるのは解雇の事実のみです。請求されていない解雇の理由を記載することはできません。
(H11.1.29基発45号)
過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
使用者は、労働者が退職から1年後に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合は、これを交付する義務はない。
②【H22年出題】
労働基準法第22条第1項の規定により、労働者が退職した場合に、退職の事由について証明書を請求した場合は、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならず、また、退職の事由が解雇の場合には、当該退職の事由には解雇の理由を含むこととされているため、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合であっても、使用者は、解雇の理由を証明書に記載しなければならない。
【解答】
①【H29年出題】 ×
退職時の証明を請求する権利は、労働基準法第115条によって時効は2年となっています。そのため、退職から1年後に証明書の請求があった場合は、使用者には交付する義務があります。
(H11.3.31基発169号)
②【H22年出題】 ×
解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合は、「解雇の理由」を証明書に記載することはできません。
証明書には労働者の請求しない事項を記載することはできないからです。
(H11.1.29基発45号)
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