合格まで一緒に頑張りましょう!合言葉は「毎日コツコツ」

社会保険労務士合格研究室

労災保険法 遺族補償年金

R5-158

R5.2.1 遺族補償年金の受給資格者と受給権者

 遺族補償年金を受ける資格のある遺族のことを「受給資格者」といいます。受給資格者には順位が定められていて、そのうち最先順位者が年金を受ける「受給権者」になります。

 

 「受給資格者」は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものです。

 ただし、「妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者については、労働者の死亡の当時、一定の年齢要件か一定の障害状態に該当した場合に限られます。

 

 では受給資格者の範囲と順位を条文で読んでみましょう。

16条の2

① 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。ただし、(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

1 (婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)父母又は祖父母については、60歳以上であること。

2 子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。

3 兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又は60歳以上であること。

4 前3号の年齢要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

② 労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなす。

③ 遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とする。

※労働者の夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時、その収入によって生計を維持し、かつ、55歳上60歳未満であったものは遺族補償年金を受けることができる遺族とされます。(S40年改正法附則第43条)

 

 

順位を確認しましょう。

妻・60歳以上又は一定の障害の状態にある夫

18歳年度末までの間にある又は一定の障害の状態にある子

60歳以上又は一定の障害の状態にある父母

18歳年度末までの間にある又は一定の障害の状態にある孫

60歳以上又は一定の障害の状態にある祖父母

18歳年度末までの間にある又は60歳以上又は一定の障害の状態にある兄弟姉妹

55歳以上60歳未満の夫

55歳以上60歳未満の父母

55歳以上60歳未満の祖父母

55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

 

過去問をどうぞ!

①【H19年出題】

 遺族補償年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

 

 

②【R2年出題】

 業務上の災害により死亡した労働者Yには2人の子がいる。1人はYの死亡の当時19歳であり、Yと同居し、Yの収入によって生計を維持していた大学生で、もう1人は、Yの死亡の当時17歳であり、Yと離婚した元妻と同居し、Yが死亡するまで、Yから定期的に養育費を送金されていた高校生であった。2人の子は、遺族補償年金の受給資格者であり、同順位の受給権者となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H19年出題】 〇

障害等級第5級以上と、労働が高度の制限を受ける、がキーワードです。

(則第15条) 

 

②【R2年出題】 ×

Yの死亡の当時19歳の子は、遺族の条件に当てはまりませんので、受給資格者にも受給権者にもなりません。

 Yの死亡の当時17歳の子については、Yから定期的に養育費を送金されていて生計維持関係があるため、受給資格者となります。

 遺族補償年金の受給資格者は17歳の子のみとなり、その子が受給権者となります。

社労士受験のあれこれ