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社会保険労務士合格研究室

労働基準法 就業規則

R5-185

R5.2.28 就業規則の意見聴取

 常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成義務があります。 

 また、就業規則の作成と変更の際には、過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴かなければなりません。

 

 条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする

1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

4 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

1から11のうち、1~3は就業規則への記載が義務づけられている「絶対的必要記載事項」、411は定めをする場合は記載が義務づけられる「相対的必要記載事項」です。

 

次に作成の手続について条文を読んでみましょう。

90条 (作成の手続)

① 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者意見を聴かなければならない

② 使用者は、届出をなすについて、意見を記した書面を添付しなければならない。

 

 今日は、作成と変更の際の手続である意見聴取をみていきます。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H21年出題】

 使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 

②【R3年出題】

 同一事業場において当該事業場の全労働者の3割について適用される就業規則を別に作成する場合、当該事業場において当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くことで、労働基準法第90条による意見聴取を行ったこととされる。

 

③【H30年出題】

 同一事業場において、パートタイム労働者について別個の就業規則を作成する場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則は、それぞれ単独で労働基準法第89条の就業規則となるため、パートタイム労働者に対して同法第90条の意見聴取を行う場合、パートタイム労働者についての就業規則についてのみ行えば足りる。

 

④【R1年出題】

 就業規則の作成又は変更について、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者と協議決定することが要求されている。

 

⑤【H27年出題】※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり

 労働基準法第90条第2項は、就業規則の行政官庁への届出の際に、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付することを使用者に義務づけているが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に氏名を記載しない場合は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うものとされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H21年出題】 〇

 就業規則の作成だけでなく、その変更の際も意見聴取が必要です。

 

 

②【R3年出題】 ×

 同一事業場で、事業場の一部の労働者のみ適用される就業規則を別に作成することもできます。

 その場合でも、作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

 問題文のように、当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数で組織する労働組合又は当該就業規則の適用を受ける労働者のみの過半数を代表する者の意見を聴くだけでは、労働基準法第90条による意見聴取を行ったことにはなりません。

S63.3.14基発150号)

 

③【H30年出題】 ×

 同一事業場で、パートタイム労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することもできます。その場合、就業規則の本則とパートタイム労働者についての就業規則を合わせたものが「就業規則」となります。それぞれが単独に就業規則となるものではありません。

 作成や変更に際しての意見聴取は、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。

H11.3.31基発168号)

 

 

④【R1年出題】 × 

 協議決定は要求されていません。意見を聴けば労働基準法違反になりません。

S25.3.15基収525号)

 なお、意見書の内容が反対意見でも、就業規則の効力には影響はありません。

S24.3.28基発373号)

 

 

⑤【H27年出題】 〇 ※行政手続における押印原則の見直しによる修正あり

 就業規則を行政官庁へ届け出る際は、意見書の添付が義務づけられていますが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合等は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うとされています。

S23.10.30基発1575号) 

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