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社会保険労務士合格研究室

労働保険徴収法 賃金総額の特例

R5-191

R5.3.6 賃金総額の特例が認められる請負による建設の事業

 労働保険料には、

・一般保険料

・第1種特別加入保険料

・第2種特別加入保険料

・第3種特別加入保険料

・印紙保険料

・特例納付保険料

があります。

通常の労働者の労働保険料が「一般保険料」です。

 

一般保険料の額について、条文を読んでみましょう。

11条 (一般保険料の額)

1 一般保険料の額は、賃金総額一般保険料に係る保険料率を乗じて得た額とする。

2 「賃金総額」とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をいう。

3 厚生労働省令で定める事業については、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業に係る賃金総額とする。

 

 

「一般保険料」の額は、賃金総額×一般保険料率で計算します。

「賃金総額」とは、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額です。

ただし、「賃金総額」には特例があります。(第3項)

 

条文を読んでみましょう。

則第12条 (賃金総額の特例)

 法第11条第3項の厚生労働省令で定める事業は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち次の各号に掲げる事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものとする。

1 請負による建設の事業

2 立木の伐採の事業

3 造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)

4 水産動植物の採捕又は養殖の事業

 

ポイント!

特例が認められるのは、

・労災保険料

・賃金総額を正確に算定することが困難なもの

ですので注意してください。

 

 今日は、「請負による建設の事業」の特例をみていきます。

 請負による建設の事業の労災保険料は、下請負人の労働者も含めて賃金総額を算定しなければなりません。

 しかし、元請負人が、下請負人の労働者も含めた賃金総額を正確に算定することが困難な場合があるので、特例が認められています。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H30年出題(雇用)】

 請負による建設の事業に係る賃金総額については、常に厚生労働省令で定めるところにより算定した額を当該事業の賃金総額とすることとしている。

 

 

②【R1年出題(労災)】

 賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業においては、請負金額に労務費率を乗じて得た額が賃金総額となるが、ここにいう請負金額とは、いわゆる請負代金の額そのものをいい、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等は含まれない。

 

③【R4年出題(労災)】

 労災保険に係る保険関係が成立している請負による建設の事業であって、労働保険徴収法第11条第1項、第2項に規定する賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、その事業の種類に従い、請負金額に同法施行規則別表第2に掲げる労務費率を乗じて得た額を賃金総額とするが、その賃金総額の算定に当たっては、消費税等相当額を含まない請負金額を用いる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H30年出題(雇用)】 ×

 賃金総額の特例が認められるのは、賃金総額を正確に算定することが困難なものです。

 請負による建設の事業だから認められるものではありません。

 

 

②【R1年出題(労災)】 ×

 賃金総額の特例が認められている請負による建設の事業は、「請負金額×労務費率」が賃金総額となります。

請負金額とは、

①事業主が注文者からその事業に使用する工事用の資材の支給を受けたり、又は機械器具等の貸与を受けた場合

→ 支給された物の価格(消費税等相当額を除く。)又は機械器具等の損料(消費税等相当額を除く。)を請負代金の額に加算します。

②機械装置の組み立て又は据付けの事業の場合

→機械装置の価額(消費税等相当額を除く。)は請負代金に加算しません。

請負代金に機械装置の価額(消費税等相当額を除く。)が含まれている場合は、その価額を控除します。

 

 問題文の場合は、注文者等から支給又は貸与を受けた工事用物の価額等を請負代金に加算します。

(則第13条)

 

③【R4年出題(労災)】 〇

 消費税を含まない請負金額を用いて計算します。

(則第13条)

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