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傷病補償年金のポイントをみていきましょう。
条文を読んでみましょう。
第12条の8第3項 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。 1. 当該負傷又は疾病が治っていないこと。 2. 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級(1級~3級)に該当すること。 |
★療養開始後1年6か月を経過した日に要件に該当するとき
療養開始 1年6か月 治ゆ
療養補償給付 |
| |
休業補償給付 | 傷病補償年金 |
|
▲(1~3級) |
★療養開始後1年6か月を経過した日後に要件に該当することとなったとき
療養開始 1年6か月 治ゆ
療養補償給付 |
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休業補償給付 | 傷病補償年金 |
|
▲(1~3級) |
では、過去問をどうぞ!
①【H29年出題】
所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後1年6か月経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な書類を添えて提出させるものとしている。
②【H29年出題】
傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。
③【H29年出題】
傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。
④【H29年出題】
傷病補償年金の受給権者の障害の程度に変更があり、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、所轄労働基準監督署長は、裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。
【解答】
①【H29年出題】 〇
労災保険の保険給付は、「請求」によって支給されます。
しかし、傷病補償年金は例外で、請求ではなく、所轄労働基準監督署長の職権で支給が決定されるのがポイントです。
被災した労働者が療養開始後1年6か月を経過した日に要件に該当したときは、所轄労働基準監督署長は、傷病補償年金の支給の決定をしなければなりません。
そのため、労働者は、療養開始後1年6か月経過した日に治っていないときは、同日以降1か月以内に、「傷病の状態等に関する届」を提出しなければなりません。
(則第18条の2)
②【H29年出題】 〇
傷病補償年金の障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態で認定されます。
(則18条第2項)
③【H29年出題】 〇
傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、傷病等級(1から3級)に該当しなくなった場合、傷病補償年金の受給権は消滅します。
その後も療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができます。休業補償給付は請求が必要ですので注意してください。
療養開始 1年6か月
療養補償給付 | ||
休業補償給付 | 傷病補償年金 | 休業補償給付 |
▲(1~3級) ▲不該当
ちなみに年金は、受給権が消滅した月まで支給されます。
傷病補償年金は傷病等級に該当しなくなった月まで支給され、翌月から休業補償給付が支給されます。
④【H29年出題】 ×
法第18条の2で、「傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。」と規定されていて、傷病等級の変更も所轄労働基準監督署長の職権で行われます。
則第18条の3で、「所轄労働基準監督署長は、法第18条の2に規定する場合には、当該労働者について傷病等級の変更による傷病補償年金の変更に関する決定をしなければならない。」となっています。「裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。」は誤りです。
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