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R5-311
通勤経路を逸脱・中断した場合について条文を読んでみましょう。
第7条第3項 労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としない。 ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。 |
中断は「寄り道」、逸脱は「回り道」のイメージです。
通勤経路を逸脱・中断した場合、逸脱・中断の間とその後の移動は通勤になりません。
例外的に、逸脱、中断が、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である場合は、逸脱の間・中断の間は通勤となりませんが、その後の移動は通勤となります。
では、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものを条文で読んでみましょう。
則第8条 (日常生活上必要な行為) 法第7条第3項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。 1 日用品の購入その他これに準ずる行為 2 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為 3 選挙権の行使その他これに準ずる行為 4 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為 5 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。) |
では、過去問をどうぞ!
①【H23年出題】
労災保険法第7条に規定する通勤の途中で合理的経路を逸脱した場合でも、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱の間も含め同条の通勤となる。
②【H27年出題】
会社からの退勤の途中で美容院に立ち寄った場合、髪のセットを終えて直ちに合理的な経路に復した後についても、通勤に該当しない。
③【H28年出題】
会社からの退勤の途中に、定期的に病院で、比較的長時間の人工透析を受ける場合も、終了して直ちに合理的経路に復した後については、通勤に該当する。
④【R3年出題】
腰痛の治療のため、帰宅途中に病院に寄った労働者が転倒して負傷した。病院はいつも利用している駅から自宅とは反対方向にあり、負傷した場所はその病院から駅に向かう途中の路上であった。この場合は、通勤災害と認められない。
⑤【H25年出題】
女性労働者が1週間に数回、やむを得ない事情により、就業の場所から帰宅途中に最小限の時間、要介護状態にある夫の父を介護するために夫の父の家に立ち寄っている場合に、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当する。
【解答】
①【H23年出題】 ×
逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合であったとしても、逸脱の間、中断の間は、通勤となりません。
②【H27年出題】 ×
出退勤の途中に、理髪店や美容院にたちよる行為は、「日用品の購入その他これに準ずる行為」に該当します。
退勤の途中で美容院に立ち寄り、髪のセットをしている間は通勤になりませんが、その後直ちに合理的な経路に復した後は、通勤に該当します。
(S58.8.2基発420)
③【H28年出題】 〇
通常の医療行為だけでなく、比較的長時間の人工透析を受ける場合も、「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」に該当します。
(S48.11.22 基発644)
④【R3年出題】 〇
自宅と反対方向にある病院から駅に向かう途中の路上は、逸脱の間(合理的経路に復する前)ですので、通勤災害となりません。
⑤【H25年出題】 〇
要介護状態にある夫の父の介護の場合は、介護終了後に合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当します。
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