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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-146 

R6.1.20 許されるべき相殺 最高裁判例より

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

条文を読んでみましょう。

24

① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる

② 賃金は、毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

第24条では、賃金支払5原則が定められています。

賃金支払の5つの原則を確認しましょう。

・通貨払いの原則

・直接払いの原則

・全額払いの原則

・毎月一回以上払いの原則

・一定期日払いの原則

 

 今日は「全額払」の原則に関する問題です。

 賃金は労働した分を「全額」支払うのが原則です。ただし、法令に別段の定めがある場合又は労使協定がある場合は、賃金の一部を控除して支払うことができます。

 今日は、賃金の過払があった場合などに相殺が許される要件をみていきます。

 

過去問をどうぞ!

①【R3年出題】

 労働基準法第24条第1項の禁止するところではないと解するのが相当と解される「許さるべき相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならない」とするのが最高裁判所の判例である。

 

 

②【H27年出題】

 過払いした賃金を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除することは、その金額が少額である限り、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれがないため、労働基準法第24条第1項に違反するものではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

③【H29年出題】

 賃金の過払を精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から控除することは、「その額が多額にわたるものではなく、しかもあらかじめ労働者にそのことを予告している限り、過払のあった時期と合理的に接着した時期においてされていなくても労働基準法241項の規定に違反するものではない。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

④【H21年選択式】

賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払われるべき賃金から過払分を控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、[・・・(略)・・・]その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の < A >との関係上不当と認められないものであれば、同項[労働基準法第24条第1項]の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【R3年出題】 〇

 「適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺」は、労働基準法第24条第1項但書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、同項の禁止するところではない」とされています。

 過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、かつ、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないなど、『労働者の経済生活の安定』をおびやかすおそれのない場合は、労働基準法第24条第1項に違反しません。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

 

②【H27年出題】 × 

 金額が少額であるということだけで相殺が許されるものではありません。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

 

③【H29年出題】 × 

 「過払のあった時期と合理的に接着した時期においてされる」ことも、相殺が許される条件の一つです。

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件)

 

 

④【H21年選択式】

A 経済生活の安定

S44.12.18最高裁判所第一小法廷 福島県教組事件) 

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