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社会保険労務士合格研究室

過去問から学ぶ 労働基準法

R6-254 5.7

必要記載事項の一部を記載しない就業規則の効力【社労士受験対策】

過去問から学びましょう。

今日は労働基準法です。

 

 

 就業規則の作成について条文を読んでみましょう。

89条 (作成及び届出の義務)

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

1始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

2賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

3退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

4退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

6 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

7 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

8 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

9 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

10 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

11 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

1)から(3は必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」、4)から(11定めをする場合は記載しなければならない「相対的必要記載事項」です。

 

では、過去問をどうぞ!

①【H28年出題】

 退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。

 

 

 

 

 

 

【解答】

①【H28年出題】 × 

 「退職手当」に関する事項は相対的必要記載事項です。退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項を、就業規則に規定しておかなければなりません。

不支給事由又は減額事由は、退職手当の決定、計算の方法に該当しますので、就業規則に記載する必要があります。

H12.3.31基発168号)

 

 

②【H30年出題】

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則に制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならず、制裁を定めない場合にはその旨を必ず記載しなければならない。

 

 

 

 

 

【解答】

②【H30年出題】  ×

 「制裁の定め」は相対的必要記載事項です。制裁の定めをする場合は、その種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければなりません。制裁を定めをしない場合は、記載義務はありませんので、その旨を記載する義務もありません。

(第89条第9号)

 

 

③【H26年出題】

 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則は、同条違反の責を免れないものであり、労働基準法第13条に基づき、無効となる。

 

 

 

 

 

【解答】

③【H26年出題】 ×

 絶対的必要記載事項の一部、又は、相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則も、その効力発生について他の要件を具備する限り有効とされています。「無効となる」は誤りです。

ただし、第89条違反の責を免れません。

H11.3.31基発168号)

 

 

④【R3年出題】

 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効であり、使用者は、そのような就業規則を作成し届け出れば同条違反の責任を免れることができるが、行政官庁は、このような場合においては、使用者に対し、必要な助言及び指導を行わなければならない。

 

 

 

 

【解答】

④【R3年出題】 ×

 絶対的必要記載事項の一部を記載しない就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効ですが、同条違反の責任は「免れない」とされています。

H11.3.31基発168号) 

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